WILLナビDUALアーカイブ 私立中高一貫校

英語力と国際的視野を身につける
「国際コース」が今春スタート

江戸川女子中学校・高等学校

「教養ある堅実な女性の育成」を建学の精神に掲げ、知性と品性を備えた「自立した人」を育ててきた江戸川女子。35年前から高校に英語科を設置するなど、早くから英語教育に力をいれてきたが、2021年度からは中学校で「国際コース」がスタートし、英語をツールとして使いこなせる力の育成にさらに拍車がかかった。

英語力の高い生徒が集まる 「国際コース」が発足

英語科主任 熊川 美帆子 先生

江戸川女子中学校に「国際コース」が誕生した。レベル別に行われる少人数制の英語教育や、全員必修の海外研修などのプログラムを用意することで、国内外の多様な進路を考えることができるカリキュラムになっている。

入試では国際コースとして募集はせず、英語の成績などで国際コース生を選抜する。英検®2級程度の英語の筆記試験が課される帰国生英語特化型入試の合格者は、全員が国際コースに所属する。その他の入試の合格者は一般コースの入学となるが、英検3級以上を取得しているか、あるいは2月に実施される英語チャレンジテストに合格すれば、国際コースも選択できる。

国際コースの第1期生として入学したのは24名。多くは帰国生で、日本語よりも英語でのコミュニケーションの方が得意な生徒もおり、いちばん英語力の高い生徒は準1級を持っている。

「英語力が高いのは確かですが、何といっても中学1年ですから、あるテーマについてのディスカッションなど、英語を使いこなすところまではいっていません。この6年間でいろいろな経験を積み、知識を蓄えることで、自分の英語力を十分に活用できるようにさせてあげたいと考えています」と英語科主任の熊川美帆子先生は話す。

一般コースで入学した生徒も、国際コースには何度でもチャレンジできる。中1で英検3級、中2で準2級、中3で2級を取得し、かつ定期テストでの英語の成績基準をクリアすれば、進級・進学時に国際コースに移動できるからだ。

「実際、入学直後から国際コースに挑戦したいという生徒もおり、国際コースの存在が生徒の英語学習への意欲をこれまで以上に高めているようです」(熊川先生)

音楽と美術は英語で教える イマージョン教育を実践

ネイティブ教員が副担任を務める国際コースでは、日常的に英語を使う環境に身をおくことができる

国際コースの英語の授業は、英検2級以上の「Advanced Class」と、英検3級以上の「Standard Class」に分かれて少人数で行われる。「Advanced Class」では、ネイティブ教員が洋書を使ってリーディングやディスカッション、スピーキングなどを鍛え、語彙もネイティブが教えることで、英語運用能力を高めている。

「Standard Class」は一般コースと同じ英語の教科書「NEW TREASURE」を使って授業を進めます。しかし、全員が英検3級以上を持っているため、進度を少しずつ速めていきながら、最終的には英検2級以上の実力をつけることをめざしています」(熊川先生)

国際コースの大きな特色の1つは、音楽と美術でイマージョン教育が行われることだ。授業内容は音楽や美術の専任教員とネイティブ教員が相談して決め、実際の授業はネイティブ教員が主体となって英語で進め、専任教員は補佐に回る。

たとえば音楽の授業では、春のイメージを自分のリズムで表現するとか、指揮者となってみんなが作るリズムをコントロールするといった授業、美術の授業ではキャラクターを作って、パラパラ漫画でキャラクターを動かすような授業が行われている。日本の従来の音楽教育、美術教育とは少し異なる、ネイティブ教員ならではの発想を感じるアプローチが魅力となっており、生徒の評判も高いそうだ。

イマージョン教育の場合、教員は英語しか話さないため、理解できない生徒も出てくる。しかし、そんな場合は、理解できた生徒が、理解が難しい生徒に、その都度自発的に教えるという状況が生まれている。

「英語を英語として習っていると、どうしても正しい英語表現にしなければと緊張しがちです。しかしイマージョン教育ではそういう制約はありません。教科活動を通じて、自然な英語表現を獲得できるようしたいと思っています」(熊川先生)

国際的な視野を広げる 「グローバル・スタディーズ」と海外研修

現地の生徒と交流する語学研修では、英会話はもちろん、多様な価値観を肌で感じることもできる
個人レッスン授業の様子

中1・2のうちは「世界がもし100人の村だったら」という本の英語バージョンをテキストとして使い、世界の現状を知ることから始めている。5~6週間を1サイクルとして、テキストに載っているテーマについて自分たちで調べ、要点をパワーポイントにまとめ、それを英語で発表するような授業だ。

「このテキストは、貧困や教育格差などもテーマとして扱っていますから、SDGsに関する学習ともリンクしています。そのため高校では、さらに深くSDGsについて考える授業に発展させることで、グローバル社会に対応できる広い国際的な視野を身につけさせたいと考えています」(熊川先生)

国際コースは、海外研修の機会も多い。同校には、従来から高校2で全員が体験できる海外研修プログラムが用意されているが、国際コースの生徒は、中3の段階で全員がマレーシアの語学研修に参加する。

1週間の研修期間中に、英語の集中レッスンはもちろん、現地校の訪問やホームステイ、他国の生徒とのディスカッションなどが予定されている。

「世界中で英語が使われているのは、母国語が異なる人同士が共通語として英語を介して意思疎通をしている状況があるからです。マレーシアは、アジアのなかでも英語教育がとても盛んであり、他国からも多くの生徒が英語を学びにきています。彼らと一緒になって英語の授業を受けたり、コミュニケーションを図ったりすることで、ツールとしての英語の意味を実感してほしいのです」(熊川先生)

高2の海外研修は、国際コースの場合、今後の進路とリンクした内容の研修内容を選択することになる。たとえば、アメリカ研修の場合は、現地の大学生との交流を通して、海外の大学生の生活に触れるような内容が想定されているほか、ニュージーランドへのターム留学や、英語のマンツーマンレッスンを毎日受講できるフィリピンの語学研修などを選択することができる。

「海外大学への進学を考えている生徒に対しては、高2秋から進学準備用の授業を開設することを計画しており、多様な進路に対応できるように準備を進めています」(熊川先生)  

現在、高校では普通科と英語科を設置しているが、国際コースの生徒が高1になる段階で、英語科の名称変更なども検討しており、国際コースの6年間一貫教育体制を整えていく計画だ。

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