国語力をベースにした「R-プログラム」を導入
同校では21世紀に求められる能力としての思考力・探究力の育成に力を入れている。大場一人校長は、その鍵は国語力にあると話す。
「国語力は、あらゆる学問の根幹だと思います。国語力は考える力そのものであり、自分で物事を考える力を身につけることこそ、AI時代に求められる能力だと信じているからです」
そのため同校では「Research(調べる)」「Read(読み取る)」「Report(表現する)」の3つのスキルを伸ばす「R-プログラム」を導入している。このプログラムは、中高6年間かけて実施されるもので、大きく3つのパートに分かれている。
第1のパートは、中学3年間を通して行われる「リーディングマラソン&読書ノート」だ。中学に入学すると、「読書ノート」が配布され、図書館から本を借りて読むたびに、読んだページ数を記入し、読書量を競うことになっている。ページ数だけでなく、読後の感想を記入する欄もあり、読んで考える、考えながら読むというトレーニングも期待できる。
「小学生のときに本を読む習慣がなかった生徒もいますから、最初は半強制的であっても本に親しむ習慣をつけることは、絶対に将来のためになると信じています。この取り組みがあることで、本を手に取ること、文章を読むことへの抵抗が薄らぎ、自主的に本を読むようになってくれることを期待していますし、事実そういう生徒が増えています」(大場校長)
「読む」「要約」「発表」を総合的に鍛えるプログラム
第2のパートは、「R-プログラム」の中核をなす「思考力&表現力向上プログラム」で、中1~高1にかけて体系的に実施される。テーマのある文章を読む「コラムリーディング」、その内容を自分の言葉で要約したり、図示したりしてまとめる「文章化」、さらにその内容を分かりやすく他人に伝える「発表」の3つの部分で構成され、文章を読み、要約して、自分の意見も踏まえてプレゼンテーションを行うという、社会で求められる一連の能力を総合的に鍛える内容になっている。
「『R-プログラム』を導入することで、国語だけでなく、他の教科で課されるレポートにおいても、しっかりと構成された文章を書けるようになっていますし、大学入試の記述式の問題にも十分に対応できる力が身につくのではないかと期待しています」(大場校長)
最後のパートは「キャリアデザインプログラム(進路学習)」だ。本やコラムを読み、自分で考え、表現する力を養うのと並行して、客観的に思考する能力を自分にも向け、自分の将来を考えることにも応用しようというわけだ。
中学では職業講話や職業体験を通じて職業について理解を深め、高校以後は、その経験をもとに学部選び、大学選びへとつなげていき、自分の将来像を明確にしていくことになっている。
「生徒には、自分に自信をつけてもらいたいと考えています。自信をつけるには、得意なものや好きなものを見つけ、それを伸ばすことです。その過程で人間的に成長し、仲間が集まってくるリーダーとしての資質を育んでほしいと思っています」(大場校長)