私立中高一貫校

生徒一人ひとりの“志”を引き出し、育てることが
成長につながり、将来への指針となる

足立学園中学校・高等学校

昭和4年、「足立の地で、社会・地域に貢献できる優秀な人材を育てたい」という地域の有志の出資により設立した足立学園。創立以来「質実剛健 有為敢闘」を校訓に、独自の教育を展開してきた。現校長が就任した平成30年4月からは“志”を掲げ、さまざまな取り組みを進めている。同校の教育の紹介しよう。

井上 実校長

多くの体験学習を取り入れた「志共育」は、自らの“志”に気づく取り組み

足立学園の校訓「質実剛健 有為敢闘」は、誠実で強くたくましく優秀で人の役に立ち最後までやりとげる人財(たから)を育成することを目指している。この校訓の中にある人の役に立ち人類や社会に貢献する目標=志との考えが、「志共育」の根幹だ。「自らの“志”を大きく育てることが成長につながります。大学進学がゴールではなく、その先にある人生を見通した“志”を立てることで、中高生の本当のやる気が生まれるのです」(井上校長)

“志”は、教師が生徒へ教えるものではなく、生徒一人ひとりが自ら気づくもの。そのため志共育では、多くの体験学習を取り入れて、それぞれが“志”を考える一助にしている。高井副校長は「志共育を実施することで、生徒が主体的に活動することが増えてきたと感じます」と語る。昨年からは中学校全体で世界で活躍している人を招いての“志”講演も始まった。同校では今後も多くの人の“志”に触れる機会を設け、生徒がそれぞれの“志”を確立できるよう取り組んでいくという。

髙井 俊秀副校長

目的意識を持ち、体験を通して学ぶ発展途上国スタディーツアー

タンザニアの幼稚園での交流。食事の補助や幼児のお世話などを行いました
タンザニアの現地校生徒とのサッカー対決。お互いの健闘を称え合いました

同校には国内短期留学のブリティッシュヒルズやオーストラリア・スタディーツアーなどさまざまなスタディーツアーがあるが、新型コロナ禍後の2022年、海外研修を再開するにあたって渡航先や目的などの見直しを実施。ただ海外に行くのではなく、目的意識を持って学び、現地での経験を基にグローバルな視野で自分の将来を設計できるようになってほしいとの願いを込めて「“志”グローバルプログラム」と命名した。この見直しの大きな特徴は、アフリカとアジアを渡航先に加え、高2の海外修学旅行でも海外研修を選べるようにしたことだ。

原 匠先生

プログラムを担当する原匠教諭は、JICA青年海外協力隊で2年間ラオスで活動。「自分が活動したラオスと、世界の縮図であるアフリカの現状を生徒に見せたいとの思いからツアーを企画しました。この2つのツアーは単なる語学学習ではなく、コミュニケーションとは何か、また現在世界や日本で起こっているさまざまな問題を解決するヒントを見つけにいくツアーです」(原先生)。ラオスでは国際協力について身近に触れる機会を持つほか、日本語を学ぶラオス人学生との交流、少数民族の村訪問など多岐にわたる体験を実施。第三回を迎えたアフリカ・スタディーツアーでは、新たにザンジバル島の世界遺産ストーンタウン訪問や、現地の学校に体験入学などが行程に加わった。

ラオスの障がい者施設の様子。バタフライピー収穫のお手伝いをしました
ラオスの少数民族の村への訪問。衛生用品を寄付しました

「スタディーツアーを経て、生徒たちはバーバルコミュニケーション、ノンバーバルコミュニケーションの両方の能力が格段に向上します。積極的に動けるようにもなります。異文化理解を通じて価値観の違いを肌で感じとることから、他者、文化、社会、国家理解が進み、世のため、人のためとは何かを改めて考え直し、自分の進むべき方向性が明確になってきます」と原先生。今後はそれぞれのツアーの質を高めていくとともに、文化・芸術の造詣の深いドイツ・スタディーツアーも企画中だ。

「新たな自分発見、新たな世界を感じに、あなたもこのスタディーツアーに参加してみませんか」(原先生)

アフリカ・ラオススタディーツアーに参加した生徒の声

2回のツアーを経験して、価値観や考え方が大きく変わりました

高1 中村匠満さん(中3ラオス・高1アフリカに参加)

中3でラオス、高1でアフリカ・スタディーツアーに参加しました。ラオス・スタディーツアーに参加したのは、担任の原先生のお話でラオスに興味を持ったからです。特に志講演で「人がとても輝いている、目が輝いている」という言葉にとても惹かれました。ラオスは貧困、社会主義だから自由がないなどマイナスなイメージを持っていた私ですが、現地で人々の輝きや自信を見て、幸せや幸福度の価値観が大きく変わりました。日々の生活や学校生活など、些細なことにも100%の幸せを感じられるからこそ笑顔や優しさ、輝きのあふれる国ができていることを実感したのです。次のタンザニアでは、町の雰囲気や空気、日本とは違った時間の流れなど懐かしいと感じることも多く、ラオス以上にパワーや活気、自信を感じました。2回のツアーでは不安なことも多かったですが、勇気を出して一歩踏み出した結果、たくさんのことを得ることができました。その経験が今は自信となり、部活動や勉強でもチャレンジ精神や挑戦を大切にしています。また2回の異文化体験を経て、今までとは違った視野を持つことができたことは、自分の人生の財産となり、将来必ず生きると思っています。私の“志”は「教育を通して多くの人に夢を与え、夢の実現まで導く」ことです。将来生徒にこんな考え方や価値観もあるということを伝え、生徒のさらなる可能性を開いていきたい。私自身も今回の経験を活かして新しい自分を作り、将来の“志”に向かっていきます。

アフリカの人々との交流が、僕を積極的にしてくれました

高2 鈴木豪さん(第三回アフリカ・スタディーツアーリーダー)

高校生でアフリカに行くという経験は、これからの人生において大きな財産になる。そう思い「この13日間でどう自分は変われるか」をテーマにツアーに参加しました。ツアーでは、アフリカのリアルを経験。最も印象に残ったのは、現地の子どもたちとサッカーをしたことです。最後のPK対決で僕がゴールキーパーになったときは、メンバーと抱きしめあい、励ましあいながら挑みました。試合後にみんなでダンスをしたのもいい思い出です。ツアーを経て僕は、「何事にもチャレンジしてみよう」と思うようになりました。英語が下手でもどうにかして伝えよう、チャレンジしてみようと努めたからこそ現地の人々と分かり合えた。この経験が僕を前向きにしてくれ、大学入学後にまたアフリカを訪れ、国際問題について研究したいと思うようになりました。ツアーではアフリカの開放感、人々の温かさ、自然の力などを身に染みて感じることができます。後輩の皆さんも是非ツアーに参加してください!!