
学校生活全体で「全人教育」を展開
玉川学園中学部・高等部では、創立者・小原國芳が提唱した「全人教育」を教育の根幹に据えている。
「全人教育という特別な教育があるわけではありません。日々の授業や国際教育、探究学習、芸術活動など玉川学園の教育活動すべてを通して、人格的な調和を実現するという考え方です」と中学部長の土屋和彦先生は説明する。
全人教育は「真・善・美・聖・健・富」の6つの価値からなり、それぞれ学問・道徳・芸術・宗教・健康・生活に対応している。そのため学校生活の中にそれらに関わる教育がバランスよく散りばめられている。
日々の授業では、すべての教科で生徒の主体性を重視した探究型学習を導入しており、データサイエンスやロボット研究など教科横断的に行う「STEAM教育」も導入している。
「SSHには制度発足当初から4期連続で採択されており、長期にわたり継続的に取り組んできた理数分野の研究活動において、高い実績を挙げています」(土屋先生)
このような探究・研究活動は各種コンテストでも優秀な成績をおさめており、世界大会に進む生徒もいるという。
礼拝の時間もあるが、ミッション・スクールと異なり、ときには仏教の僧侶が講話を行うなど、広義の宗教教育の場になっている。音楽の授業は高3まで必修で、どの学年も合唱曲を練習し音楽祭で披露することになっている。
「高3はモーツァルトの宗教曲『レクイエム』をラテン語で合唱しますが、オーケストラの伴奏とも相まって、感極まる瞬間が訪れます」(土屋先生)
ほかにもデンマーク体操や労作教育など玉川学園ならではの取り組みが多く、正課のカリキュラム、課外活動、学校行事のすべてを通して人格形成を図ろうとする理念が一貫して貫かれている。
生きた英語が学べる多彩な国際教育
国際教育もまた全人教育の一端を担うものとして力を入れており、「ラウンドスクエア」「海外提携校との交流」「IB(国際バカロレア)プログラム」の3本柱を中心に展開している。
「ラウンドスクエア」は国際的な私立学校連盟で、加盟国は50カ国280校以上にのぼり、そのネットワークを活用することで交換研修など多彩な交流プログラムが実施されているほか、年1回開催される国際会議にも毎年生徒を派遣している。また、直接提携を結んでいる海外提携校は8か国17校あり、こちらも年間通して生徒の派遣や受け入れを行っており、日常的な国際交流が可能な校内環境になっている。
さらに「IBプログラム」があることで、世界標準の教育スタイルが中高の教育にも浸透しており、とくに探究型の学習に大きな影響を与えている。
なかでも注目したいのが中2を対象にした「カナダ研修」だ。玉川学園が所有する玉川学園ナナイモ校地をベースにカナダに約10日間滞在して様々なネイチャー・アクティビティを経験するもので、今年度は大自然の中にある「ストラスコナ野外教育センター」に滞在して現地インストラクターの指導のもと、カヌーやキャンプ、ロッククライミングなどに挑戦する初めての試みも行う。
「英語環境のなかで寝起きし、自然に触れながら身体活動を行うため、生きた英語が肌感覚で身につきます。生徒が心身ともに本当にたくましくなって帰ってくるプログラムです」(土屋先生)

(註)*1SSH…Super Science High School(スーパー・サイエンス・ハイスクール)の略。文部科学省が指定する先進的な理数系教育や研究開発を行う高校。1期は5年間。