WILLナビDUALアーカイブ 私立中高一貫校

国際コース、新校舎、新制服
創立90年を機に『新・江戸女』スタート

江戸川女子中学校・高等学校

江戸川女子は「教養ある堅実な女性の育成」を建学の精神とし、知性と品性を備えた「自立した人」を世に送り出してきた。36年前に高校に英語科を設置するなど早くから英語教育に力を入れてきた同校は、創立90周年を迎えた2021年、中学校に「国際コース」を設置。このほかにも学習内容の見直し、新校舎の建設など新たな取り組みが始まっている。同校の『今』を紹介しよう。

これまでの教育をブラッシュアップさせた、国際コースが昨春誕生

英語科主任 熊川 美帆子 先生(左)と入試対策委員 水嶋 瞳 先生

英語をツールとして使いこなせる人材の育成を目指している江戸川女子。ネイティブ講師による授業やオンライン英会話などを積極的に導入し、使える英語の修得に力を入れてきた。

2021年に誕生した国際コースでは、これまで蓄積してきたノウハウを生かし、ハイレベルな英語教育を展開。英語の授業は、英検®︎2級以上のアドバンストクラスと、英検3級以上のスタンダードクラスに分かれて少人数で実施される。アドバンストクラスでは、ネイティブ講師による原書講読の授業で、読解だけではなくライティングやディスカッションも指導。スタンダードクラスでは、一般コースと同じ授業からスタートし、最終的に英検2級以上の取得を目指す。

国際コースならではの特別なカリキュラムも用意されている。従来からある高2全員が体験できる海外研修プログラムに加え、国際コースでは中3全員がマレーシアの語学研修に参加。また音楽・美術でネイティブ教員が英語で教える「イマージョン教育」や、世界の事象について調べ、英語でプレゼンテーションする「グローバル・スタディーズ(探求)」もある。グローバル・スタディーズは中1から5年間行われ、アドバンストクラス、スタンダードクラス混合でグループを編成。当面は『世界がもし100人の村だったら』の英語版をテキストとして使い、高校ではSDGsについて考える授業に発展させていく。

国際コースとしての入試はなく、英語の成績などで国際コース生を選抜。英検2級程度の英語の筆記試験が課される英語特化型入試での合格者は全員が国際コース生となるが、それ以外の入試合格者でも、英検3級以上を取得しているか、あるいは2月に実施される英語チャレンジテストに合格すれば、国際コースを選択できる。また一般コースで入学した生徒も、英語の成績条件を満たせば進級・進学時に国際コースに移動できる制度も用意されている。

昨春、国際コース第1期生として入学したのは24人。多くが帰国生で、アドバンストクラス14人、スタンダードクラス10人からのスタートだった。

「1つのコースの中に2つのクラスがあることで、溝ができるのではないかと危惧していたのですが、まったくの杞憂でした。英語が得意な生徒がわからないところをさりげなく教える様子も最初から見られましたし、クラスの雰囲気は明るいですね」と英語科主任の熊川美帆子先生は語る。

この1年でスタンダードクラスの生徒3人が英検2級に合格。うち2人は2年からアドバンストコースで学んでいる。一般クラスから国際コースに編入した生徒も現れた。

「さまざまなバックグラウンドを持つ生徒が集まっていることで、お互い多様性を尊重しながら刺激しあえる環境が国際コースにはあります。日々切磋琢磨する中で『自分たちもできるんだ』という自信やモチベーションが生まれているようです」(熊川先生)

今春は第2期生25人が国際コースを選択。第1期生とも行き来があり、お互いにいい影響を与えあっていると言う。

国際コースの生徒が高1になるタイミングで、高校の英語科もリニューアルを計画中だ。英語科という名称を変更する、ネイティブ講師の授業をさらに充実させるなど、カリキュラムを一層充実させ、国際コースの6年間一貫教育体制を整えるべく検討が進んでいるという。今後の展開が楽しみだ。

異なるバックグラウンドを持つ生徒たちがお互いに尊重しながら刺激し、一緒に成長できる環境が整えている国際コース

多様性の時代を見据えた、組み合わせ自由な制服

江戸川女子ではこれまで65分授業・2期制・6日制の独自の教育システムを採用。毎年カリキュラムを検討しながら、6年間をトータルにとらえた教育体制を整えてきた。

創立90周年を迎え、同校は3つの改革を実践した。

1つは45分授業の導入。

「生徒は時間が短くなって集中しやすくなったと感じます。教員の立場からいうと、始める前は時間を無駄にできないという焦りもありましたが、実際に授業をやってみるとリズムを作りやすい。やりづらさは感じませんね」と熊川先生は言う。

一方、入試対策委員の水嶋瞳先生(理科)は、ハイブリッド授業のメリットを語る。

「実験・探究活動の多い実習の理科では、2コマ連続90分授業を行います。今まで以上に考察に時間をかけられますし、次の週に回していた問題演習まで時間内で行え、つながりやすくなりました。教科の特性をうまく使えるようになったと思います」

次に、新校舎の建設。2022年から18歳成人となったことにあわせ、高3生がそれぞれの進路に向けて、落ち着いて学ぶことのできる教育環境を提供したいとの考えから、高3生専用棟が完成した。自習室やラウンジなど、リラックスできる施設・設備が整っている。

「電子レンジが用意されているのも、下級生から見たら特別感があるようで『うらやましい』という声が上がっています」(水嶋先生)。

もう一つ、新しくなったものに制服がある。2022年度より新制服が採用され、スカートとスラックス、ブラウスとポロシャツなど多様な選択・組み合わせができる形になった。

「制服は学校を象徴する大切なもの。創立90周年の記念行事として新制服を導入するにあたり、江戸女らしさを念頭に1年以上検討を重ねてきました。日本の和の心を意識した色使いや、エレガントで多様性のあるデザイン、毎日着るための機能面など、さまざまな角度から検討し、最終的には複数の候補から、生徒、保護者、教員それぞれにアンケートを取って決定したのです。生徒からの評判もよく、『この制服が着たいから江戸女を選んだ』という新入生もいました。また、上級生にはスラックスを希望する人が多くいましたね。生徒それぞれが工夫しながら、新しい制服を楽しんでいるようです」(水嶋先生)

さまざまな改革を実行し、次の時代へと進化を続ける江戸川女子。最後に、お二人からメッセージをいただいた。

「中学・高校の6年間は人間としての土台を作る時期。知識や教養は自分が行きたいと思う方向に進むための大事な力です。いろいろな経験を積み、知識を蓄え、可能性の種をたくさん見つけて欲しいですね」(熊川先生) 「江戸川女子は学校全体が一つの家族のよう。生徒と先生がともに親しみ、誰もが自分の居場所を見つけられる学校です。女子校ならではののびのびとした環境の中、さまざまな体験を通して自由な感性を磨いて欲しいと思います」(水嶋先生)

2022年3月に完成された6年生専用の西館(写真はラウンジ)最終学年としての総仕上げの場として相応しい教育環境を整えている
2022年度より豊富に選べるアイテムで新たに採用された新制服
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