WILLナビDUALアーカイブ 私立中高一貫校

ありのままの自分を認め、他者を尊重する
「恵泉らしさ」のなかで人間的な成長を

恵泉女学園中学・高等学校

 恵泉女学園中学・高等学校は、「自ら考え、発信する力を養う」ことを目指し、「聖書」「国際」「園芸」を柱とした教育を実践してきた。創設者・河井道の教えを100年近く受け継ぎ、グローバルな視点を持って、平和を実現する人を育てている。この春卒業し、大学に進学した卒業生の姉と、現在高2に在学中の妹のお二人に、恵泉でのさまざまな経験や学びについて語ってもらった。

クラブや委員会、課外活動など多彩な選択肢の中から選べる体験

相澤風花(あいざわふうか)さん(2023年卒業)早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科1年(左)
相澤朗歩(あいざわあきほ)さん(在校生)恵泉女学園高等学校2年(右)
 

―恵泉に進学したいと思った理由を教えてください。

風花 小学5年生くらいのとき、父から手渡されたいくつかの女子校のパンフレットの中に、恵泉がありました。それを読み込んでみたら、自分が恵泉に通う姿を自然に想像できたので、「ここにする」と決めました。他校を見学することもなく、恵泉に入るために中学受験をしました。

朗歩 姉が参加する学校説明会に一緒に行ったり、学校生活の話を聞いたりして、「雰囲気がいいな。自分に合っているかも」と思って志望しました。受験したのは恵泉だけでした。

―中学校に入学してみて、学校の印象は変わりましたか。

風花 入学前の楽しいイメージはそのままでしたが、学校生活を送っていくなかで、創設者の河井道先生をはじめ、いろいろな人たちの思いが詰まってこの環境が作り上げられているのだと感じ、本当の「恵泉らしさ」を知るようになりました。

朗歩 私もイメージ通りでしたが、入学してみると大変なこともあります。特に学習面では、自分が満足するまで突きつめるには、かなりの努力が必要だと痛感しています。

―クラブや委員会などについて教えてください。

風花 中1から高3の春まで、オペレッタクラブでピアノ伴奏を担当しました。中2の終わりに、先輩の退部でピアノ担当者が私1人になってしまい、突然の大役に悩んだことがありました。その時、同級生や後輩のサポートのおかげで、何とか乗り切ることができた経験から、無理だと思ったことでもやり遂げる自信がつきました。委員会は5年間、奉仕委員会に所属しました。子ども食堂への訪問などを通して、自分たちの活動内容を周知し、多くの人に理解してもらうために何が必要なのか、深く考えるようになりました。

朗歩 課外活動の華道に参加しています。最初は花を持ち帰ることができる点に魅力を感じていましたが、今では決められたテーマの中で自分らしさや感性を表現できるようになり、生けること自体を楽しんでいます。委員会は、姉と同じ奉仕委員会に所属しています。今年度は訪問班のリーダーになったので、新しいことにもチャレンジしていきたいです。

―中高生活で特に思い出に残っている出来事はありますか。

風花 社会問題に興味がある私は、世の中で起こっている出来事について、普段からみんなに関心を持ってもらいたいと思っていました。高3のとき、わたしの「感話」※を聞いて声を掛けてくれた同級生と一緒に、恵泉の中でオンラインコミュニティーをつくり、社会問題やそれに対するアクションを紹介する活動を始めました。この活動は卒業した現在も継続中です。大学で学んだことも発信して、参加している人たちに少しでも考えるきっかけを与えられたらいいなと思っています。

朗歩 海外からの留学生と1週間ジェンダーや平和をテーマにディスカッションしながら一緒に過ごす「エンパワーメントプログラム」に、中3と高1で参加しました。アフリカ出身の留学生から聞いた、「女性が大きな荷物を持っていると偏見の目で見られる」という話にはとても驚きました。女性は小さな荷物を持って、上品にしていなくてはいけないそうです。それぞれの国の現状や価値観を知り、実際にコミュニケーションをしてみないと分からないことがあると実感したので、英語はもちろん、ほかの言語も学びたいと思いました。

生徒に寄り添って考えてくれる先生自分がありのままでいられる心地良い環境

―恵泉ならではの良い点、ユニークな点を教えてください。

風花 生徒が互いの個性を否定することなく、でもどこか同じ気持ちでつながっているのが恵泉らしさかなと思います。こうした雰囲気は、「感話」などを通してお互いを理解できることと、先生方も個性があり、私たちに一人の人間として接してくれることが大きく影響しているのではないかと思います。自分がありのままでいられる雰囲気があります。

朗歩 先生方が、生徒と一緒になって全力で考え、悩んで下さるところがいいなと思っています。イベントの準備がうまくいかなかったときに一緒に考えたり、いつでも気軽に話せる態勢を整えたりして下さるので、心強く感じます。

―今後、高校や大学で挑戦してみたいことはありますか。

風花 高1のとき、メディアセンターにあった哲学者・斎藤幸平氏の著書『人新世の「資本論」』を読みました。今の資本主義体制の限界を論じていて、その結果の一つとして気候変動を大きく取り上げていました。危機が起こった際には、社会的マイノリティーの方がより大きく影響を受けてしまうという内容に衝撃を受けました。ちょうどコロナ禍だったこともあり、もっと政治や経済について学ばないと問題の本質が見えてこないのではないかと感じ、早稲田大学の政治経済学部を志望しました。同じ学部のキャリア志向の人にとっては、おそらく私は異分子だと思いますが(笑)、そういう人たちと関わり、考え方を知りたいと思いました。将来は社会に何かを還元できる仕事をしたいのですが、どんな選択肢があるのか、これから考えていきたいです。

朗歩 私はこれまで、リーダーシップをとるタイプではなかったのですが、高2・高3では、クラスや委員会で自分から発信して、みんなと意見を述べ合える機会を作っていきたいです。大学では、言語の学びを深めたいと思っています。また、出来事の原因を深く考える恵泉の歴史の授業を受けて、歴史の知識を平和のためにつなげていきたいとも考えています。

―最後に、受験生へのメッセージをお願いします。

風花 恵泉で得られる人間的な成長の意味は、実際に経験してみないとわからないことだと思います。それを知るためにも、ぜひ入学してください。

朗歩 恵泉は安心して悩める場所だと思います。悩みを真剣に受け止めてくれる先生や友達がいるので、悩むことが自分の成長につながると感じられます。恵泉で安心して学校生活を送ってほしいと思います。

※感話…年3回、礼拝時に他の生徒の前で日頃感じたり考えたりしたことを発表するもの

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