WILLナビDUALアーカイブ 私立中高一貫校

歩みを止めずに変革を推進
未来に向けて、今ある力をさらに伸ばす

江戸川女子中学校・高等学校

 創立から90年以上の歴史を持つ江戸川女子中学校・高等学校は、「教養ある堅実な女性の育成」を建学の精神に掲げ、時代に合わせた学校改革に取り組んでいる。2021年度に中学校に開設した「国際コース」には、今春3期生が入学し3学年がそろった。「誠実・明朗・喜働」を3本柱とする校訓の下、同校の教育は今、どのような進化を遂げているのだろうか。

お互いを高め合える「国際コース」で、英語という“武器”を磨く

中学入試対策委員長の吉田秀徳先生(左)と入試対策委員 水嶋 瞳 先生(右)

「昨年、『国際コース』中2のアドバンストクラスから、英検®1級の合格者が出ました。日々の取り組みが成果として表れたことに手応えを感じています」と語るのは、中学入試対策委員の水嶋瞳先生。国際コースには、英検®2級以上の「アドバンストクラス」と英検®3級・準2級の「スタンダードクラス」があるが、スタンダードクラスでも10名ほどが中2の時点で英検®2級を取得ているという。どちらのクラスの生徒も、驚異的なスピードで成長していることがわかる。

 この躍進を支えているのは、4技能をバランス良く伸ばす同校の英語教育だ。週9コマの授業時間の中に、オンライン英会話とネイティブ教員による英会話の授業が1コマずつあり、2次試験の面接対策はもちろん、筆記対策もネイティブ教員がサポートする。「大学入試では、英検®の取得級によって優遇が受けられる学校も多いので、中学から全員に資格取得の意識づけを行っています」(水嶋先生)

 中学入試対策委員長の吉田秀徳先生は、「国際コースは、英語という自分の“武器”を認めてもらえる場所です。その中で過ごすことで、力を発揮し続け、より高いレベルをめざすことができるのではないでしょうか」と分析する。さらに、吉田先生も水嶋先生も、「国際コースのクラスには、みんなが同じ方向を向いて進むことができる一体感がある」と口をそろえる。

 日常的に英語が飛び交い、まるで留学しているような雰囲気が漂う国際コースだが、部活動や行事は一般クラスの生徒と一緒に活動する。英語が堪能なアドバンストの生徒の姿を見て、「自分たちもあんなふうになりたい」という生徒が増え、学校全体で英語学習に対する意欲が高まっているという。

英語をツールとして使いこなせる人材の育成を目指している江戸川女子。ネイティブ講師による授業やオンライン英会話などを積極的に導入し、使える英語の修得に力を入れてきた。

ネイティブ教員による英会話、マンツーマンのオンライン英会話、多読システムなどで英語4技能をバランスよく伸ばす

異文化理解を深め、世界への視野を広げる多彩な授業

国際コースには語学力をさらに向上させる、特色あるプログラムが用意されている。中1からオールイングリッシュの探究授業「グローバルスタディーズ」を実施し、世界の事象について調べたことを英語で発表して発信力を養う。授業で身につけた探究力を土台に、インドネシア・バリ島でSDGsなどをテーマに海外の学生とディスカッションなどを行う研修プログラムも、今年度からスタートする予定だ。

 日本人教員とネイティブ教員のチームティーチングで、音楽と美術を英語で学ぶイマ―ジョン教育も取り入れている。課題に関する指示などはすべてネイティブ教員から英語で発信され、制作した作品のコンセプトを英語で発表する授業も行われる。

 また、中学校には情操教育の一環として茶道や華道、箏曲など、日本文化への造詣を深める特別教育活動の時間が設けられている。水嶋先生はこう話す。「アドバンストクラスの帰国生や外国籍生にとっては、まさに“異文化体験”です。国際コースだからといってすべてが海外志向というわけではありません。日本のことを知り、一般クラスの生徒たちとも行動を共にする中で、人としての幅が広がると考えています」

 吉田先生は自身が担当する体育の授業で、集団行動や規律を日本の文化として教えているという。「本校の校訓である『誠実・明朗・喜働』の3本柱がきちんと根づいて脈々とつながっていく、そんな国際コースであってほしいですね」(吉田先生)

生徒の可能性を引き出すさまざまな改革に着手

同校では質の高い学びを実現するために、授業システムの改良も進めている。2022年には授業時間を65分から45分に変更。生徒の集中力がアップすると共に、2コマ連続の90分授業では、演習や実験にもじっくり取り組めるようになった。

 生徒たちは高1まで中入生だけのクラスで学び、高2に上がるときに文系・理系も含めて進路を自由に選択できる。「将来を見据えた時、多様なニーズに応えられるカリキュラムになっています」と吉田先生。

 現在、新たな試みとして、生徒主催の校内見学ツアーなど、生徒が関わる入試イベントの企画も進めている。「生徒たちは積極的に手を挙げて参加を希望してくれています。これまでにも、生徒会の生徒がイベントで説明する機会がありましたが、教員の視点とは違うリアルな部分を自分の言葉で伝えてくれるので、受験生や保護者にも好評です。何より、在校生が本校を好きなことがよく伝わります」(吉田先生)

 2024年度入試に適性検査型入試が導入されることも、注目のトピックといえるだろう。その背景には、公立中高一貫校の適性検査対策をして入学してくる生徒のポテンシャルが非常に高いことや、適性検査入試と類似する「大学入学共通テスト」のベースとなる力を持っている人に入学してもらいたいという思いがある。「本校には、真面目でこつこつと努力できる生徒たちが自分の可能性を伸ばせる環境があります」と吉田先生は話す。続けて、水嶋先生も同校の魅力について力強く語った。「学習習慣を身につけるために課題も出しますが、本校は、勉強だけを目的にしている学校ではありません。総合的な人間力を養える場が豊富にあり、生徒が前向きにがんばることができます。学校生活を楽しみたいと思っている皆さんに、ぜひ来ていただきたいですね」

茶道や華道などから“和のこころ”を育てる
  • 英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。