私立中高一貫校

質の高いプログラムで
深い知的探究ができる学校へ

普連土学園中学校・高等学校

キリスト教フレンド派による日本で唯一の学校、普連土学園中学校・高等学校では、生徒1人ひとりのなかにあるかけがえのない価値を育む教育を進めている。主体性の発揮を促す取り組みや、特色ある異文化交流研修などの内容について、青木直人校長に伺った。

校長 青木 直人 先生

デザインも使用ルールも生徒が決めた新自習室

普連土学園中学校・高等学校では、アフターコロナを見据え、新しい試みに取り組んでいる。まず紹介したいのは、生徒発案による新自習室企画だ。自習室は複数あるが、独習用で黙々と勉強するのが基本だ。コロナ禍で希薄になった人間関係の回復も兼ね、友人と一緒に学べる自習室がほしいとの生徒の声に応え、新しい自習室を設置するプロジェクトが動き出した。壁紙のデザインから、椅子やテーブルの配置まですべて生徒がデザインし、2023年9月から使用が始まった。

「教員は一切口を出さず、すべて生徒にまかせました。内心不安でしたが、想像以上に落ち着きのある学びの空間ができあがりました。飲食可能な学習空間は普連土初ですが、使用ルールも自分たちで決め、和やかに学び合っています」と青木校長は生徒の自主性を評価する。

東京都歴史的建造物に選定されている中学校舎

振り返りを重視する異文化交流研修

中断していた国際教育として異文化交流研修も従来通り活発に動きはじめた。

「ジョージ・フォックス ツアー」は、自分たちの学校のアイデンティティを再確認する旅行で、フレンド派発祥の地である湖水地方を訪れるものだ。直接、フレンド派の人たちの考え方に接することで、改めて普連土学園の教育の良さに気づく生徒も多いのだという。

「セルフディベロップメント プログラム」は、他の女子校との合同企画で、全米屈指のリベラルアーツカレッジを訪れ、地元の大学生や他校の生徒とのディスカッションを通じて、自己の成長を促す目的で行われている。参加した生徒は、自分の常識を疑うことの大切さに気づくようになっていくそうだ。

「カンボジア アキ・ラー プロジェクト」は、カンボジアでの地雷撤去活動の視察を中心としたプログラムだ。地雷撤去を主導するアキ・ラー氏との連携のもと、地雷原での撤去作業を現地視察し、地雷被害者の状況などを知ることで、途上国支援のあり方を考える狙いがある。

また、24年度からは新たにニュージーランドターム留学と、カナダでのホームステイプログラムもスタートする。「コロナ以後、新たに4つの海外研修を設けました。いずれも事前学習と帰国後の振り返りを徹底的に行うことで、ただ参加するだけでは得られない深い意味があるものになるのだと思っています」(青木校長)

フレンド派の足跡をたどる英国旅行

高大連携を強化し学びの多様化を図る

学びの幅を広げるという意味では、大学との連携は大きな魅力の一つといえる。同校の生徒は例年4割近くが理系進学で、今春卒業生の理系選択者は5割を超えていた。こうした状況をふまえ、23年度に東京理科大学と連携協定を締結。キャンパスツアーの実施や、同大の教員志望学生によるチューターを受け入れるなど、幅広い連携プログラムが現在進行中だ。

このほか、東京女子大学や上智大学、東京農業大学との交流も始まっている。生徒へのアンケートをもとに、多くの生徒に刺激を与え、視野の拡張につながるようなプログラム作りを、これからも続けていくという。

「大規模校のように教育プログラムの数で勝負することはできません。しかし、本校の規模だからできる、考え抜かれた質の高いプログラムを通して、深い知的探究ができるような学校づくりをめざしていきたいと思っています」(青木校長)

東京理科大学キャンパスツアー。学食でのランチ体験や数学体験館の見学も行った