私立中高一貫校

きめ細かく面倒見の良い教育と
充実の国際教育で海外大学・難関大学へ

八雲学園中学校高等学校

1938年の創立から今年で87年の歴史を誇る八雲学園中学校高等学校。共学校に移行して8年目を迎え、今春卒業した共学2期生は難関大学や海外大学への合格実績を大きく伸ばした。背景にあるのは、長く受け継がれてきた面倒見の良い教育と実践的なグローバル教育だ。進化を続ける同校の教育について、校長の近藤彰郎先生に聞いた。

グローバル教育を重視し、中3生全員で海外研修へ

八雲高等女学校を前身に持つ八雲学園中学校高等学校が男子生徒の募集を開始したのは2018年。この春、共学2期生が高校を巣立った。校長の近藤彰郎先生は、「卒業生からは『八雲に入学して本当に良かった』と言ってもらえる。共学化から8年目となり、いいサイクルができています。当初『日本一の学校づくり』を掲げましたが、それが実現できていると感じます」と自信を見せる。その強みは、次世代のリーダーを育てるためのグローバル教育と、女子校の伝統が育んできたきめ細かく面倒見の良い教育だ。

定評のあるグローバル教育は、日々の英語学習はもちろん、中1でのレシテーションコンテストや朗読劇、中2でのスピーチコンテストや英語劇、全学年による英語祭などが年間行事にも組み込まれている。イエール大学との交流、姉妹校ケイトスクールとの交流、世界各国のラウンドスクエア加盟校との交流も活発で、グローバルに活躍するための基礎となる英語力を鍛えつつ、英語や異文化に親しむための国際交流の輪を広げている。「これからの時代は理系に進む場合も英語が必須。しっかり学んでほしい」と近藤先生は言う。

中3になると、中学の英語学習の集大成として全員で2週間のアメリカ研修へ。カリフォルニア州サンタバーバラにある学園所有の研修センター「八雲レジデンス」に滞在しながら、UCSB(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)で英語教育専門の教員による習熟度別授業を受ける。「学年全員で行くことに意味がある。この研修をきっかけに進路を決める生徒もいますし、何より高校生になる前に貴重な経験をすることで新しいスタートを良い状態で切ることができます」

同校が所有する研修センター「八雲レジデンス」を拠点した中3全員が参加する「2週間海外研修」

希望制のプログラムも多彩だ。高1が対象の「9カ月プログラム」は、3カ月間のアメリカ留学を中心に、出発前3カ月と帰国後3カ月の事前事後学習を合わせた9カ月にわたるプログラムで、留学中はUCSBで約270時間にわたる英語の授業を受講。生徒の英語力はCEFRのB1またはB2レベルに到達するという。また、夏休みに実施される高校生対象の「3週間アメリカ研修」では、姉妹校のケイトスクールで授業を受け、2週間のホームステイを経験する。

姉妹校ケイトスクールを訪問

一方、グローバルな舞台に立つための教養として日本の文化を学ぶ機会も重視。中1 から高3まで、年間を通して音楽や演劇などさまざまなジャンルの芸術を鑑賞する機会を設けている。

海外大学に30名が合格。難関大学への実績も伸びる

グローバル教育の充実は、大学合格実績にも表れている。2025年3月に卒業した共学2期生137名のうち、イギリスのマンチェスター大学、オーストラリアのシドニー大学、ニュージーランドのオークランド大学など錚々たる海外大学にのべ30名が合格。高校3年間の評定平均と英語統一テストの点数で協定大学を受験できるUPAA(海外協定大学推薦制度)を利用したもので、同校でも積極的に活用している。日本の大学受験と並行して準備できるとあって、生徒の関心が年々高まっているという。

一方、国内の難関大学への合格数も大きく伸びている。早慶上理ICUは前年度の5名から18名に急伸。GMARCHも前年度の23名から37名に伸び、難関大学をめざす進学校としての存在感が増している。右肩上がりが続く合格実績の背景には、細やかな学習サポートがある。SP(Support Program)と称し、中学生には英語・国語・数学の希望制の講習を、高校生には主要5科目の大学受験に向けた講習を実施。さらに高2からは「特別進学プログラム」として、予備校の講師を招いた講座を開講している。「塾に行かなくても大学受験に対応できるよう、かなり手厚くやっています。確実な学力アップが数字にも表れていますし、生徒たちもそれぞれに目標を持ってがんばってくれています」と近藤先生。現在の高3生は優秀な生徒が多く、来年度の実績にも期待してほしいと話している。

外部との連携も活発で、昨年12月には順天堂大学との高大連携協定を結んだ。すでに同大でのキャンパスツアーやメディカルテクノロジーシミュレーションセンターでの実習体験が行われ、今後さらに連携を深めていく計画だ。

一人ひとりに合わせてサポートする温かな教育環境

八雲学園のもう一つの大きな特長が面倒見の良さだ。中学3年間は、担任以外の教員が生徒一人ひとりのチューター(学習アドバイザー)となって個別に支援する。中2以降は生徒が希望の教員を指名。相性の良い教員に学習面だけでなく、生活面や人間関係などの悩みまで気軽に相談できるシステムを整えている。

入学したばかりの中1生を高3生が1カ月にわたってサポートする仕組みも同校ならではの取り組みだ。高3生が新入生のクラスに入って、朝礼から昼食、放課後の清掃まで多くの時間を過ごして交流する。5月の連休明けには区切りとなる親睦会が行われ、ともに食事を楽しむ。別れを惜しんで涙を流す中1生もいるそうだ。翌日には、球技場を借りて中1全体での球技大会を実施。クラスや学年の絆を深め、安心できる環境で本格的な中学生活をスタートさせている。

担任以外の教員が生徒一人ひとりに寄り添って学習面を中心に、日常生活や不安などの相談役もなる「チューター制度」

部活動も活発で12の運動部と16の文化部が活動中。全体の約85%の生徒がいずれかの部に所属している。強化部指定されている高校空手道部は全国選抜2連覇を果たし、さらには世界大会でも優勝した。同じく強化指定部の高校バスケットボール部は都大会・関東大会で優勝し、インターハイ・ウィンターカップ出場を果たしている。近藤先生は、「勉強でがんばる生徒もいれば、部活動でがんばる生徒もいる。学校生活を楽しみながらいろいろな形で活躍できればいい。大事なのは、自分のやりたいことを見つけてがんばる意欲。学校はそこを支える。教員も非常に熱心なので、本校に入学する前と後で変わる生徒は多いです」と言う。こうした学校の思いと情熱が「八雲に入学して良かった」ということばを引き出すのだろう。

学年を越えた信頼関係を築けることが、部活動の魅力のひとつ

最後に近藤先生は受験生とその保護者に向けて、次のメッセージを送った。「受験はチャレンジです。結果を恐れずに、自分ができることを精一杯やってください。うまくいかないこともあると思いますが、それも人生。乗り越えて一生懸命やることが大事です。未来に向かってがんばってください」