私立中高一貫校

将来につながる多様な学びを深め
未来に生きる新しい自分に出会う

鷗友学園女子中学高等学校

「慈愛(あい)と誠実(まこと)と創造」を校訓に、1935年に設立された鷗友学園中学高等学校では、キリスト教の精神に基づく全人教育の下、広く学問のおもしろさに触れる学びを重視している。多様なプログラムを通して生徒が主体的に学び、創造し、行動する力を育てる鷗友学園の教育について、校長の柏いずみ先生と学年主任の大内まどか先生に聞いた。

心身ともにタフにやりたいことを広げていく6年間

創立90 年の歴史を誇る鷗友学園女子中学高等学校は、これまでの伝統を大切にしながらも、今の社会が求める力を育む教育を日々進化させている。「生徒がみずから考え、行動し、広い視野と知識を持って他者とつながり、新たな価値を創造する力を育てています」と話す校長の柏いずみ先生。心身ともにタフにやりたいことを広げていく、そんな6 年間になるよう、さまざまなプログラムを導入している。

同校では高1の秋に大学受験を見据えて文系・理系・芸術を選択するが、それまでにあらゆる分野を広く学ぶ仕組みを整えている。学年主任の大内まどか先生は、「文理選択はあくまでも大学入試のシステムに対応するため。学問はもちろん、すべての仕事、産業、社会全体はつながっていて、現代社会の複雑な課題を解決し、イノベーションを起こすには“横”のつながりが不可欠ということを学んでほしい」と話す。

そのために、昨年度の高1では「学びの翼プロジェクト」と称し、東京大学メタバース工学部と連携。東大生にアドバイスをもらいながら、化学・交通・宇宙・工学技術といったテーマから関心のある分野を選んで社会課題の解決を図った。そして、班ごとに挑戦したその成果は、発表と相互評価を通じて学年全体で共有する。「けっして理系に進むための学びではありません。一見、理系の内容でも、社会課題の解決には多角的なアプローチが成り立ち、さまざまな分野の専門知識が必要であることを学んでいます」と大内先生。学問の横のつながりに気づき、狭い視野での学びに終わらないことがこのプロジェクトの目的だ。

何事にも興味を持って行動。一人の体験をみんなでシェア

学問の横のつながりを実感する校内プログラムとして、毎年7月に「教科横断day」を実施している。これは教科の枠を超えてコラボ授業を行う取り組みで、全員必修の高1のほか、中3・高2の希望者も参加が可能。昨年は保険の仕組みや環境問題、国際協力などさまざまなテーマの授業が展開され、大盛況に終わった。「幅広い学問的視野を身につける良い機会になっています。異なる発想がつながると新しいチャンスが生まれるというところを楽しんでほしいですね」と柏先生は言います。進路選択の際に、本講座で興味を持った分野に進む生徒もいるという。キャリア教育に関するプログラムとしては、大学生や社会人になった卒業生を招いて話を聞く機会なども設けられている。

昨年12月には、東北大学で稼働したばかりの3GeV 高輝度放射光施設「ナノテラス」の見学会を初めて実施した。最前線の研究やそれにかかわる人と接することを目的に、高1を中心に希望者40 名余りが東北大学へ。太陽光の10 億倍の明るさを持つX 線を照射してナノレベルで物質を可視化する施設を見学したほか、世界各地の放射光施設や、その研究の現場でいかに女性が活躍しているかという話を聞いた。

東北大学の放射光施設「ナノテラス」を見学。最先端の技術がもたらす可能性に触れる

参加した生徒は大いに感銘を受け、後日実施された学年全員の前での発表にも熱が入った。「自分たちが体験するだけでなく、学年全員にシェアすることにも大きな意味があります」と大内先生。東北大学に進学した卒業生とランチを共にする時間もあり、学生生活や勉強についての話を聞くなど、楽しい時間になった。

「全部を知って、全部が楽しい」という意識を持って積極的に行動

一方で、医療現場での体験もまた、生徒たちに深い影響を与えている。昨年8月に島根県隠岐島での地域医療プログラムに参加した生徒は、「患者さんに寄り添うとはどういうことか」を考えるようになったという。そこには、人を幸せにするための医療とは何かという問いが生まれていた。

地域医療プログラムに参加することで、今後の目標と自分のなりたい医師像が明確に

このように同校の生徒は、学校が行う多彩なプログラムに参加するだけでなく、みずから活発に行動しているのも特徴だ。ほかにも、南米での生態系保護ボランティアに挑戦した生徒、農業の活性化をめざして農家でのボランティアに通う生徒、中2で福祉について学んだのをきっかけに高齢者施設でのボランティアを続ける生徒、大学の講座を受講し企業が実施するコンテストに応募して受賞する生徒もいるという。

「鷗友生の興味は、何か一つのことだけにとどまらず、すべてのことに及びます。全部を知って、全部が楽しいという意識を持って積極的に動いています」と大内先生。長期休みの後には活動報告会でそれぞれの取り組みを発表するのも恒例となっている。「一人の体験をみんなでシェアする、一人の視野をみんなに広げる、そんな発想です」

また、「人前に出るのが苦手だった生徒が『自分も発表させてほしい』と手を挙げるようになる。そんな変化が、わたしたちがめざしているところでもあります。鷗友生はそういう環境を自分たちの手でつくり、発展させています」と柏先生は言う。

最後に先生方は受験生へのメッセージを送ってくれた。「学校は点数で評価できるものばかりではなく、深く楽しい学びや喜びにあふれている場所です。ぜひ新しいことを知り、新しい人に出会うことを楽しみに努力してください。苦手なことばかりが目につく自分がいたとしても、鷗友学園では変わることができます。みんながほめてくれて、みんなが認めてくれる鷗友学園は自分の可能性に気づくことができる学校です」と大内先生。

一方、柏先生は、「今、一生懸命がんばっている先には広い世界が待っています。その入り口を鷗友学園で見つけることができます。6 年間で自分のなかにある可能性を一緒に探していきましょう。広い世界を一緒に楽しんでいきましょう」と呼び掛けた。