
飾らない自分を出せる日大豊山を第一志望に
———— どうして日大豊山を選んだのでしょうか。
木村 小学校3年生から中学受験塾に通い始めました。徐々に勉強の楽しさに気づきはじめ、自由にのびのびと中高生活を送りたいと思うようになっていたときに、日大豊山の存在を知りました。男子校ですから、女子の目を気にせずに好きなことができますし、中 高一貫で日本大学の付属校という点にも惹かれました。学校見学に来て、ここだったら通ってみたいと思ったことから第一志望にしました。家から近かったことも決め手の一つでした。
———— 吹奏楽部だそうですね。
木村 はい。父が指揮者・ピアニスト、母が声楽家で、3歳からピアノを習い始めました。そのおかげもあり、幼い頃から身近な存在だった音楽に強い関心をもっていました。それで入学後に吹奏楽部に入ることにしました。
———— 担当する楽器は何ですか。
木村 クラリネットです。当初はサックス希望だったのですが、顧問の先生からクラリネットをすすめられ、初めて触れてみたところ、一瞬でその音に魅了され、クラリネットに決めました。他の楽器では出せないような〝温かい音〞が出ますし、リードの削り方次第で音をカスタマイズできる点も、自分だけの音を作れそうで気に入っています。

中学3年で学生指揮者に 全国大会出場が最終目標
—————— 練習にはどれくらいの時間を費やしているのですか。
木村 練習時間は、月~土曜日の午後3時20分から6時くらいまで週6日あります。定期テスト前の1週間と、コンクール後の1週間を除き、長期休暇中も毎日練習です。
—————— かなりハードな練習ですが、勉強との両立は大丈夫ですか。
木村 それは問題ありません。毎日6時まで練習しているので、帰宅後は少し疲れてしまい、休み休み勉強することになりますが、テスト前は練習が休みになるため、そこで頑張って遅れを取り戻しています。
—————— 年間スケジュールのようなものは決まっているのですか。
木村 まず4月に、新入部員を迎えるための楽器体験があり、6月には東京都吹奏楽連盟関連の演奏イベントなどがあります。7月は苗場での約1週間の合宿、8月は全日本吹奏楽コンクール(高等学校の部)の予選、10月は豊山祭でのステージ演奏とドリルフォーメーション、12月はアンサンブルコンサートとアンサンブルコンテスト、3月は定期演奏会があります。ですから普段の練習では、基礎練習に加えて、こうしたイベントやコンサートで演奏する曲の練習を行っています。
———— クラリネットの演奏技術は上達していますか。
木村 練習を重ねるうちに、相対音感も身につきましたし、クラリネットを始めて数カ月後には、中1で吹奏楽コンクールの演奏メンバーにも選ばれました。高3の先輩がクラリネット初心者の自分にマンツーマンで基礎を教えてくださったおかげだと感謝しています。中3からは、学生指揮者としてパートごとの練習を見たり、先輩たちの練習ノートをチェックしたりといった役割も担わせていただいています。
———— 今後の目標を教えてください。
木村 全日本吹奏楽コンクールの全国大会に出場することです。全国大会に出場するには、東京都予選、東京都大会へとステップを進める必要がありますが、実はここ10年ほど東京都予選を突破できていません。中学校の部には出場せず、中高合わせて高等学校の部に出場するという本校の事情もあるのですが、昨年度は惜しくも銀賞だったため、少しずつレベルを上げていきながら目標に近づきたいと思います。

海外語学研修に参加して外向性と積極性が開花
———— 吹奏楽部での活動に加えて、中3でニュージーランドでの海外語学研修にも参加しています。なぜ参加しようと思ったのですか。
木村 英語が苦手で、中2まではそういった気持ちにはなれませんでした。しかし、中3になっていよいよ英語の成績が振るわなくなり、これではだめだと思い切って挑戦してみることにしました。英語が得意だから参加するのではなく、英語が苦手だからこそ、それを克服するために参加しようと思いました。
———— どのような研修なのですか。
木村 向こうの夏休み期間に合わせて12月9日に出発し、全部で10日間の日程で行われます。生徒が2人1組で現地家庭にホームステイし、昼間は現地の同年代の生徒と一緒に様々なアクティビティに挑戦するというものです。英語の勉強というよりは、丸ごと英語環境のなかに飛びこんで、英語でのコミュニケーションを体験するという研修でした。
———— 何か得るものはありましたか。
木村 非常にためになりました。向こうでは自分から行動しないと何も始まりません。そのため、コミュニケーション能力や自主性が磨かれたと思っています。確かに英語はあまり通じず、沈黙してしまう時間もあったのですが、それでもコミュニケーションをとり続ける努力をしなければなりません。この10日間の体験は、英語をもっと勉強しなくてはというモチベーションになりましたし、その後の学校生活にも活きていると思っています。
———— 具体的にどのような変化がありましたか。
木村 まずは友だちとの付き合い方が高校になって変わりました。中学時代はよく話せる親友は1人くらいしかいませんでしたが、帰国後は先輩方ともよく話せるようになりましたし、吹奏楽部内では、学生指揮者という役割もあって全員と話すことができるようになり、成長できたと思っています。また、ニュージーランドに行く前は、どちらかというと内向的な方だったのですが、帰国後は外向的な側面も少し出てきたように思います。たとえばそれまでは授業中に発言することはほとんどありませんでしたが、高校からは積極的に発言するようになりました。先生方からは、声が大きくなったと言われますし、母親もニュージーランドに行ってから前向きになったと先生に伝えていたようです。
———— 今年の夏のカナダでの海外語学研修にも挑戦するようですね。
木村 はい。ニュージーランドで現地の文化に触れることの大切さを痛感しました。ですからもっと他の国の文化も知りたいと思いましたし、自立心を磨いていきたいと思い、挑戦することにしました。今回は帰国してすぐにコンクールという大変な時期ですが、どちらも手を抜かずに頑張るつもりです。

クラリネットは趣味にして本気で薬剤師をめざす
———— 将来の進路のようなものは決まっていますか。
木村 中学時代はとくに進路を意識したことはありませんでしたが、高校になって思い切りの良さが出てきたせいか、自分の将来を自分の考えで選択することにしました。クラリネット演奏で指先が器用ですし、化学系に興味があり、医療にも少し携わりたいという思いがあるため、薬剤師をめざすことにしました。クラリネットは趣味として長く続けていくつもりです。
———— 薬学部に進むなら勉強もがんばらないといけませんね。
木村 日本大学の薬学部をめざすとなると、付属校生が全員受験する「基礎学力到達度テスト」でもかなり高得点が求められますが、すでにその覚悟はできています。今後3年間は、吹奏楽部として全国大会をめざすと同時に、希望する進路に進めるように学力面での努力を続けていくつもりです。この学校を選んで良かったと心から思っています。