英検®利用入試を導入し、きめ細かい習熟度別授業を提供
グローバル化の浸透で子どもたちの英語学習履歴が広がりを見せている。そこで、三輪田学園では今春から英検利用入試を導入し、英検級に応じた習熟度別授業をスタートさせた。
英検準2級以上の合格者、および同等の力を持つ帰国生は、アナーズ(Honors)クラスと呼ばれる取り出し授業に参加する。中1は英語が週5時間あり、ネイティブ教員が単独で指導する授業が1時間、日本人教員とのチームティーチングが2時間、文法などを日本人教員が教える授業が2時間ある。現在は、中1生が3人だが、次年度以降は、英検2級以上を取得した生徒は、進級時にアナーズクラスに所属できる。
ネイティブ教員が単独で教える授業では、英語で書かれた教科書を使う。「英語を自然に使う」ことにフォーカスしており、ビデオや映画などを使って、英語を実際に使う環境のなかで4技能を鍛える授業を進めていく。英語科の石上美樹子先生は、「英語の授業というよりは、英語を母国語とする子どもたちの“国語”に近い授業で、教材を通して考えを深めていくような、総合的な言語力をつける授業になっています」という。
アナーズクラスでは、英語話者が普通に使っている英語の獲得をめざしており、最終的にはライティングに落とし込むように指導している。内容を伴った文章が書ければ、英語の運用能力の状態が判断できるからだ。
担当するケイリー先生は「オピニオン(自分の意見)、リーズン(理由)、サポーティングセンテンス(補強する内容や意見)などの型、すなわち文章のロジックをしっかりチェックしています」と説明すると、石上先生は「私たちは、ケイリー先生を通して、アメリカの小中高の“国語教育”のあり方を学んでいます」とうなずく。
今年入学したアナーズクラスのR.H.さんは、「小1までシンガポールにいたため、準2級を持っていますが、自分のレベルに合った授業をしてくださるのでとても充実しています。将来は訪日外国人を助けるような国際貢献につながる仕事に就きたいと思っています」と、力強く話している。
なお、英検利用入試で英検3級程度以上の合格者はアドバンストクラスに所属して、スタンダードクラスと共通のテキストを進度を速めて行うほか、異なる教材を加えて英語を鍛えていく。また、スタンダードクラスも3学期以降は習熟度別に分かれ、それぞれのレベルで英語運用能力を高めていく。当然、全てのクラスでネイティブ教員の授業がある。
「自分たちが、世界的にみても素晴らしい英語教育を受けていることに気づいてほしいと思います」(ケリー先生)
6年間のパッケージで行われる英語教育
三輪田学園の英語教育は、正課の授業だけで行われるのではない。授業以外の様々なプログラムを通して、英語力を高める工夫がなされている。石上先生はそれを「6年間のフルパッケージによる英語教育」と呼ぶ。中学から英語を学ぶ生徒であっても、こうした多彩なプログラムを活用することで、中学3年間で準2級に合格できる力を育成しているからだ。
英語学習を6年間続けるには、目的やモチベーションを維持していく必要がある。三輪田学園では、英検と各種研修プログラムによって、そうした学習意欲を喚起しようとしている。石上先生は「たとえば、アナーズクラスでは、中学卒業段階で準1級、高校卒業段階で1級まで取得させたいと思っています」と話す。
一方、研修プログラムは、多岐にわたる。今年は新型コロナの影響で中止あるいは未定も多いが、基本的なラインナップを紹介しよう。
中1は、東京グローバルゲートウェイで海外の疑似体験を行う。英語の初学者なので、こうした体験を通して英語を話したいという気持ちを高めていく。中2は、2泊3日のイングリッシュ・キャンプに全員で参加。2泊3日のスケジュールで宿泊施設に泊まり込み、24時間英語漬けの日々を過ごす。
中3は、国際教養大学でのイングリッシュ・ビレッジや、カナダ語学研修が実施される。国際教養大学では海外からの留学生と交流し、カナダ語学研修では、10日間の日程で、ホームステイをしながら、英語を集中的に学ぶ。
アドバンストクラスのM.K.さん(中1)は「国際教養大学での研修に興味があります。ちゃんと英語力を身につけて、いろいろな国の留学生と交流したいと思っています。そのためにも、単語だけでなく、フレーズの意味もしっかり学んでいきたいと思います」と話している。
高校になると、イギリス語学研修(高1)、オーストラリアターム留学(高1・高2)のほか、1年間のオーストラリアイヤー留学(高1)、マルタ海外研修(高2)などがある。イギリス語学研修では、ヨーロッパやアジアから英語を学びにきた人たちと一緒のインターナショナルクラスで学ぶほか、ドラマを使って身体的に英語表現を身につける授業も受けることができる。ターム留学とイヤー留学も、人数は限られるものの、力のつくプログラムとして、同校の生徒の人気は高い。
アドバンスクラスのS.H.さん(中1)も「どんな仕事をするにも基本的な英語力は絶対に必要だと思っています。1年間のイヤー留学をめざしていますから、帰国してからの受験勉強に困らないように、英語だけでなく、他の教科もしっかり勉強するつもりです」と抱負を語る。
日本の大学との併願が可能な「海外協定大学推薦制度」を完備
こうして英語力を鍛えていくと、海外大学への進学も視野に入ってくる。そのため、三輪田学園では、昨年度から「海外協定大学推薦制度」を導入している。イギリスとアメリカの計20大学と協定を結び、各大学が要求する英語力と高校での成績基準を満たせば、4校まで出願できる制度だ。
「この制度の最大の特色は、日本の大学との併願ができることです。海外の大学に出願し合格すれば、入学の権利を確保したまま、日本の難関大学にもチャレンジできるわけですから、将来の選択肢が大きく広がることになります」(石上先生)
国内外の大学進学で要求される英語力を満たすため、e-ラーニング教材の「College Pathway」も導入している。中1から段階的に力をつけていくように設計されているため、やる気さえあれば、どんどん先に勉強を進め、早めに目標とするスコアを獲得できるようになる。このほかにも、多読・多聴のためのe-ラーニング教材「myON(マイオン)」も導入しており、日々の学習に効果的に使っている。
様々な教育手法やプログラムによって、英語力強化に取り組む三輪田学園。ICTにも力を入れており、コロナ禍でも早い時期から双方向のオンライン授業を実施した。今後の卒業生の活躍が楽しみな学校といえるだろう。
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